今回は主に介護士様、看護師様向けの記事となっております。
吸水シートを使用したシャンプー方法に関して、できるだけ専門用語を使わずかみ砕いてご紹介します。
その前に少しだけ自己紹介させてください。
新潟市で訪問美容をしている斎藤真輝と申します。
スタイリスト歴7年。合格率2%業界最難関資格といわれているヘアケアマイスター保持者です。
色々な情報が行き交っている現代ですが多少は信頼して頂けるのではないかなと思っております。
吸水シートを使ったシャンプーの問題点
ベッドで寝たきりの方にシャンプーを行う時などに、吸水シートを使ってすすぎを行う事があるかと思います。
その時すすいだ水がうまく吸水されず、シートから水が溢れる経験はありませんか?
これはシャンプー成分である、界面活性剤によって発生した泡がシートに吸水されない事が原因です。
一般的な対処法
吸水がうまくいかない場合、下記の対処法が一般的です。
ストレッチャー浴
ストレッチャーにベルトを使用して体を固定し、寝たままの姿勢で入浴する方式です。
ストレッチャーが上下に電動し、湯船に入ります。
寝たきりの方や座った姿勢が安定しない方でも入浴できる方法です。
服を脱いだ状態で寝かされての入浴となるので、羞恥心を伴いやすいというデメリットもあります。
タオルを用意するなどの配慮をします。
ただし一般的にこうした介助を要する入浴は、早いサイクルでも3日に1回〜になると思いますので毎日のシャンプーは困難と言えるでしょう。
結果的に利用者様に頭皮の痒みや不快感をあたえてしまうことにもつながります。
ドライシャンプー
ドライシャンプーとは、水やお湯を使わないシャンプーのことです。
水やお湯を使わないので手軽にシャンプーが可能です。
シャンプー工程は以下の通りです。
1 泡を頭皮に適量付ける。
2 髪や地肌になじませて、指の腹でマッサージするように洗う。
3 タオルで泡を取り除く。
4 ドライヤーで乾かす。
すすぎの工程が省かれているので時間を短縮でき、更にお湯の使用もないので場所を選びません。
病院や介護福祉施設などの医療・福祉現場や、キャンプなどアウトドア、ライフラインの復旧ができていない被災地などで重宝されています。
ただし、すすぎの工程がないので頭皮のターンオーバーによって発生した角質(フケ)の除去はできません。
更に皮脂に関しても除去がされないのでベタつきが残りやすい傾向です。
よく顔のTゾーンは皮脂が多いと言われますが、頭皮の皮脂量はTゾーンの2倍で、背中の約5倍ともいわれています。
つまり体内の中でも最も皮脂の分泌が多い場所が頭皮と言えるのです。
そんな頭皮の皮脂がそのままではベタつきも残りますよね?
なのでドライシャンプーのみでは洗髪は不十分と言えます。
ではドライシャンプーの効果とは何か?
それは除菌、消臭、メントール成分による涼感です。
言い方は少し雑になりますが、わかりやすく例えるならファブリーズを頭に振りかけているようなものです。
より良い対処法
結論から言えば吸水シートを使用して角質や皮脂を、しっかりと洗い流すシャンプーを推奨します。
ただし泡によってすすぎがうまく吸水されず、水が溢れる点を改善しなければいけません。
ではシャンプーで発生した泡を消す方法をお伝えします。
方法はとても簡単です。
シャンプー後すすぐ前にリンス又はコンディショナーを泡立っている髪に塗布してください。
それだけで泡が簡単に消えます。
更にリンス、コンディショナー後のすすぎとシャンプーを一度にできるので時間短縮にも繋がり、利用者様の身体的なご負担も軽減する事ができます。
ちなみになぜ泡が消えるのか?
それはシャンプーのマイナスイオンとトリートメントのプラスイオンが合わさり中和され泡が消えるのです。
ただし、本来シャンプーとトリートメントは相反する効力を持つものなので互いの効力は半減します。
特に仕上がり感などは通常のシャンプー、トリートメントには劣ります。
しかしシャンプーにおいて一番大切な角質、皮脂を洗い流す事は十分に果たせます。
それによって頭皮環境を正常に保つことができ、結果的に痒みや炎症を抑えご利用者様により快適な生活を送っていただくことができます。
余談
身体状態によって満足にシャンプーを行えない方が数多くいます。
清拭などでお体は洗えても、人体の中で最も皮脂分泌の多い箇所を洗えないというのは本人様は元より、介護者側にしてみても歯痒い思いだと思います。
そんな方に少しでも助力できれば、と思いこの記事を書きました。
ほんの小さな発想の転換ですが、効果は大きいものだと思います。
もっと欲を言えば衛生面だけでなく、髪の質感までも満足のいくものにできれば。。。と思っています。
しかしまずは、皮膚状態の正常化が優先される事です。
今後よりよいベットでのシャンプー方法、薬剤など模索していこうと思います。
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