2020年6月にスタートした訪問美容フクロウは、皆さまに支えられ、このたび5周年を迎えることができました。
この節目の年を迎えられたのは、日々フクロウのサービスをご利用いただいているお客様、活動を応援してくださっているご家族の皆様、そしてフクロウに共感し、力を貸してくださる福祉・介護関係者の皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。
訪問美容フクロウの始まり
訪問美容フクロウの立ち上げは、一年にわたる入念な準備から始まりました。機材一つとっても「持ち運びが楽なもの」「安全に使えるもの」「サロン品質を保てるもの」と、何度も何度も試行錯誤を重ねました。使用する薬剤も同様で、頭皮や毛髪に優しく、施術後も快適に過ごしていただける処方のものを厳選。さらに、訪問美容ならではの動線の確保や、限られたスペースでの施術技術、利用者様の体調や姿勢への配慮など、サロンでは得られない知識や技術を地道に積み上げてまいりました。
店舗型美容室と訪問美容の違い
振り返ればこの5年間は、常に「より良くするにはどうすればいいか?」を問い続け、アップデートを繰り返してきた日々だったように思います。
訪問美容は、いわゆる「成熟した業界」ではまだありません。店舗型の美容室では、カット技術や施術方法がある程度体系化されており、サスーンカットに代表されるような世界的に認知された技術が、スタイリストたちの基礎を支えています。そこに、日本人の骨格や髪質に合わせたアレンジが加わり、各美容師が自分のスタイルを築いていきます。
一方、訪問美容の世界では、まだ「技術の源流」と言えるものが見つかっていないのが現状のように思います。もちろん、従来の美容室で培った技術をベースに訪問先でも応用していくことはできますが、訪問ならではの環境の違いが、技術の運用に大きく影響を与えます。
髪にかかる重力の向き
その代表的な例が、「髪にかかる重力の向きの違い」です。
美容室では、シャンプー台、セット椅子、照明などがすべて整えられた中で、髪の落ちる方向、毛流、骨格などを計算して施術が行えます。しかし、訪問美容では、頭部の角度や姿勢の制限により、髪にかかる重力の向きが異なります。そのため、サロンでの技術をそのまま応用しても、思いどおりにいかないことが少なくありません。
常に改善策の模索と発見
このような「訪問ならではの壁」に直面するたびに、学び、工夫を重ね、より良い方法を模索してきました。具体的には、施術フォームの見直しや、寝たままで施術できる特別なケープ、移動式シャンプー台の改良、また体調の変化に即応できるコミュニケーション術など、技術だけでなく“対応力”そのものも鍛える必要がありました。
お客様との信頼関係
5年間の中で特に学ばせていただいた事は、お客様とのコミュニケーションが、技術以上に大切な“信頼”を育ててくれるという事です。最初は緊張していた方が、2回目、3回目の施術で少しずつ心を開いてくださり、やがて「今日はこんな髪型にしたい」とリクエストをくださるようになった瞬間。フクロウにとって、それは技術が認められたというだけでなく、ひとりの人間としてその方と向き合えている証のように感じております。
5年という月日は、長いようであっという間でした。しかし、この間に積み重ねてきた経験や出会いは、訪問美容フクロウを築くとても大切な財産となっています。
最後に
これからも、フクロウは歩みを止めず、成長し続けます。来年も、再来年も、より良いサービスをお届けできるように、機材の改良、技術の探求、心のこもった接遇に、さらに磨きをかけていきたいと思います。
おそらく5年後、10年後に今日を振り返ったとき、「あの頃はまだまだだったな」と、また少し恥ずかしく思うかもしれません。それでも、それは進化の証です。常に振り返り、反省し、自問自答を繰り返すこと。それが訪問美容フクロウの信念です。
これからも、地域の中で「髪を整えること」「気分をリフレッシュすること」「自分らしさを取り戻すこと」のお手伝いを、誠実に丁寧に行ってまいります。
引き続き、訪問美容フクロウをどうぞよろしくお願いいたします。
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